韓国のお正月やお盆には、食卓のテーブルの足が折れるほど先祖を供養するためのお供えを準備します。
特にチュソク(旧暦のお盆)を代表する食べ物「ソンピョン(松餅)はより一層心をこめて作ります。
レッスンの内容
ソンピョン
どんなもの?
ソンピョンはうるち米の粉をこねて、小豆、豆、栗、なつめ、ごま等でつくった餡をいれて半月の形にし、松の葉を敷いて蒸したお餅です。
私が幼い頃はチュソクの前日が家族全員でソンピョンをつくる日でした。遊びにいくこともできず、一日中ソンピョン作りに追われていたことを思い出します。
良縁と子のかわいさ
ソンピョンを作り始めて1時間もたつと、もう飽きて遊びたくなり、適当につくっていると決まって母の口から出る言葉がありました。
「ソンピョンをきれいに作ったら、いい家にお嫁に行って、かわいい娘を生むんだよ。」
その言葉が幼心にもどれほど重くのしかかってきたことか、また姿勢を正して丹精こめてソンピョンをつくったものでした。
それで、友達同士の間で「○○ちゃんちのお母さんはソンピョンをきれいに作ったみたいね!」、
「うちのお母さんはソンピョンを適当につくったみたい」と言い合っては、顔のコンプレックスをソンピョンのせいにしたりもしました。
ソンピョンの歴史
今はソンピョンの形は色々ですが、もともとソンピョンの形は半月のかたちだったんですよ。どうしてですかって?
三国時代から
ソンピョンの起源は、三国時代にさかのぼります。宮殿の地中からカメが出てきたのですが、カメの背中には、「百済は満月、新羅は半月」と書かれていたそうです。
そこで、百済の31代目の王様、義慈王が占術師をよんでその意味を尋ねます。
【満月と半月の意味】
百済は満月なのでこれから傾き始めるという意味であり、新羅は半月なのでこれから徐々に大きくなって満月になると言ったそうです。
その後、新羅は三国統一を成し遂げるんですよね。
それで、百済の人々は半月の形のソンピョンをつくって食べ、今後の運とよりよい未来を祈ったといわれています。
日本では月見団子
韓国人がソンピョンを食べる日、日本では「月見だんご」を食べ、中国では「月餅」を食べます。名前は違えど、共通点はどれも月と関係があるということです。
中国は月餅
韓国では旧暦8月15日に半月の形のソンピョンを作りますが、中国では同じ日にまるい月の形を象徴する月餅を食べます。
初めは栗、すいか、梨、柿など、形の丸い果物とともに、お月さまにささげるお供えとして使われていました。
時代の流れとともに、十五夜の月を見ながら月餅を食べる風習に変わっていったといわれています。
この日は近しい人たちと一緒に月餅を食べながら、互いの幸せを祈ります。
ソンピョンは高カロリー
ソンピョンもこのように、互いの幸せを祈って一緒に食べるお餅なので、チュソクの日にはたくさん食べるしかないといったところ。
問題はソンピョンのカロリーが想像をはるかに超えるほど高いということです。「どのぐらいか?」ですって?
【5~6個でご飯1杯分】
一般的に韓国料理の一食分の熱量は450~550kcalぐらいですが、ピンポン玉一つ分ぐらいのソンピョンを5~6個食べただけで、なんとご飯一杯分、300kcalぐらいになるほどカロリーが高いのです。
「チュソクは体重を戻すのがお正月より大変」という言葉があるぐらいですから、体重との戦いを繰り広げている方にとっては「恐怖のソンピョン」といっても過言ではないでしょう?
ソンピョンの話
엄마: 지우야, 송편 빚자.
母親: ジウ、ソンピョンつくろう。
지우: 엄마 이렇게 많이 만들어요?!!
ジウ:ママ、こんなにたくさん作るの。
엄마: 친척들도 많이 오니까 넉넉히 만들어야지.
親戚も大勢来るから、たっぷり作らなきゃ。
지우: … 아이고 허리야~ (대충대충 만듦)
…あ、腰が~(適当に作る)
엄마: 송편을 예쁘게 만들어야 시집 잘 가서 예쁜 딸 낳는다.
ソンピョンをきれいにつくればいい家にお嫁に行って、かわいい娘を生むんだよ。
지우: 알았어요. 예쁘게 만들게요.
わかったわよ。きれいに作るわよ。