韓国の教育制度や留学を素材にした韓国ドラマには、「全部おまえのためにすることなのよ」という言葉がよく出てきます。
いったいどういった環境が、韓国の親にこの言葉を言わせるのでしょうか?
レッスンの内容
1日に2つの学校に通って勉強する韓国の学生たち
【全部おまえのためにすることなのよ】
親子間のいざこざのほとんどが、子供の結婚問題や教育問題に端を発しているようです。
子供との口げんかの末、子供を納得させるための最終兵器がこの「全部おまえのためにすることなのよ」なのです。
1日に2つの学校に通うと言われている韓国の学生たちの帰宅時間は、父親の帰宅時間より遅くなることも少なくありません。
【高3の子を抱えた母親は、何をしても許される】
「高3の子を抱えた母親は、何をしても許される」という言葉があるぐらい、子供と一緒に受験生と化してしまう韓国の母親の教育熱は、オバマ大統領も激賞したほどです。
しかし、実際に韓国で行われている教育の現実と問題点は、「世界第2位の教育大国、学生の自殺率第1位」という言葉に凝縮されるのです。
韓国の教育の特徴は競争
韓国は相対評価
フィンランドは世界の学力水準で第1位、韓国は第2位だそうです。
しかし、興味深い事実は、フィンランドの学生たちは笑顔で勉強し、韓国の学生たちは泣きながら勉強するということ。
その理由は、韓国の教育の特徴が競争だからでしょう。
もちろん他の国の教育にも競争がないわけではありません。
しかし、異なる点は、他の国の教育が自分自身との血のにじむような競争だとしたら、韓国の教育は他の子どもたちとの血のにじむような競争だという点です。
24時間、競争心理の中で、覚えたり、暗記したりしながら、机の前で格闘しなければならないのが、韓国の子どもたちの現実なのです。
外国は絶対評価
日本を始めとする多くの先進国では、成績表に何等かは書かれていません。
A+ ~Fまで等の絶対評価があるだけで、相対評価はしませんよね。だから韓国の教育を受けていた学生たちは、留学すると、初めは絶対評価という方法に慣れなくて、
「他の人はどのぐらいの成績なのかな?」
「私は全体で何番目ぐらいなのかな?」
「私は勉強できる方なのかな?」
と考えてしまい、不安になるといいます。
相対評価の教育方式に慣れている韓国の学生たちにとって、家庭教師をつけたり、塾に通ったりすることは、最も楽な勉強方法のようになってしまいました。
そのうち学校の休みに入る日が、塾の開講日となってしまいました。学校は試験を受けに行き、塾は勉強をしに通うというわけですね。
大学入試のために
大学入試に照準を合わせている韓国の教育制度は80%が選択式試験の類型です。
つまり普段は遊んでいても、ひと月死ぬ気になって勉強すると、よい成績を収めることができ、その試験の成績が大学入試のほぼ半分以上を占めることになります。
しかし、1年に4回ある試験で成績が悪ければ、いくら授業態度がよく、宿題をきちんとしていても、低い点数をつけられてしまうしかありあません。
ひたすら勉強する子供たち
2等コンプレックス
学校で勉強し、塾で勉強し、個別指導を受ける子供たち。
「おとなたちに言いたい。もし同じドラマを4回見ろと言われたらどう思うのか?」と問いかけたある女子高生の叫びが深く印象に残っています。
彼らは面白いドラマでさえない、同じ科目の学習を学校で、塾で、また家庭教師から、あきあきするほど反復しながら、12年の間、忍耐と競争力を学ぶのです。
1等になれなかったといって自殺する「2等コンプレックス症候群」が際立って多い国が韓国です。
ジョブズ症候群
しかし、最近の若者の間では、「ジョブズ症候群」の風が吹いているようです。
「明日死んでも、後悔しないことをしろ」というジョブズのメッセージが長い間、押さえつけられてきた韓国の若者たちの心を目覚めさせています。
今日の韓国語表現
학원 안 가면 안돼?-塾行かないとだめ?
다 너 잘 되라고 하는 거야.-全部おまえのためにすることだよ
会話
엄마:밥 먹었으면 빨리 학원 가!(パム モゴッスミョン パリ ハゴン ガ)
母:ご飯食べたら早く塾に行きなさい!
성광:엄마, 학원 안 가면 안돼?(オンマ ハゴン アン ガミョン アンデ)
ソンガン:母さん。塾行かないとだめ?
엄마:무슨 소리야.(ムスン ソリヤ)
母:何言ってるの。
성광:재미없어.(チェミ オプソ)
ソンガン:つまんない。
엄마:다 너 잘 되라고 하는 거야.(タ ノ チャル デラゴ ハヌン ゴヤ)
母:全部おまえのためにすることだよ。
빨리 다녀와.(パリ タニョワ)
早く行ってきなさい。